※本記事にはネタバレがあります!
ご注意ください!
おちょこあざーっす!おちょこだぞー!



おれはぼたん。



今回の感想は小説の短編集!



さっそく本題、頼む。
作品の基本情報
あなたに謎と幸福を ハートフル・ミステリー傑作選
- 小説/短編集
- 編者:細谷正充
- 著者:近藤史恵、加納朋子、矢崎存美、大崎梢、宮部みゆき
- 出版:PHP研究所
- 2019年7/8発売
- 公式サイト
ざっくり紹介
「謎と幸福」が厳選された短編集!
編者によって集められた5編の幸せなミステリー!
なかには、先日の感想で取り上げた『空をこえて七星のかなた』著者・加納朋子さんの作品も!
「幸福」がテーマの一つだから殺人事件などの重い事件はないし、各著者の作風に触れられる一冊だったよ。



どの作品も面白かった〜!
※ここからネタバレ!
この先はネタバレが含まれます!
未鑑賞の人はご注意ください!!
感想
今回は5編のうち、
・特に好きな3編
・加納朋子さんの短編
について綴るよ!
各短編ごとにちょっとした導入も記載してみたから、気になったら本書を読んでみてね!
「割り切れないチョコ」近藤史恵
舞台はとある小さなフランス料理店で、そこのウェイターが主人公。
ある日の昼時、店内はいつも通りの賑わうが、一組のテーブルには不穏な雰囲気が漂っていた。
主人公はもしもの時に対処するため二人の様子を見守るのだが……。
感想①
フランス料理店の平和な雰囲気が好き!
本書のなかでは最も穏やかな雰囲気。
特別大きな事件やトラブルもなく、安心感のある作品だった!
舞台がフランス料理店なだけあって、食べ物やレストランの知識・ワードに触れられたのも良き!
感想②
「割り切れない」意味の温かさと切なさが渋い!
この物語はタイトル「割り切れないチョコ」を読み解く流れになっていく。
「割り切れないチョコ」とは、「ボンボンショコラ詰め合わせセット」のこと。
とある店の詰め合わせセットは、どれもチョコが割り切れない個数だった。
一般的には偶数で売られるのに何故か?その理由には温かな感情が込められていた。
この短編で一番好きなのは、「割り切れない」がショコラティエの心情にもかかっているところ。
ベクトルの違う2つの「割り切れない」意味が判明したとき、温かさとやるせなさが込み上げてくる……!
加えてそれらは本人が真相を語ることなく終わる。
この描写が「割り切れない」心情の説得力にもなっているし、人情ドラマ味があって良き!



あえて語らせないの、渋い!
「君の歌」大崎梢
主人公は高校3年生の平凡な男子。
彼は卒業式が終わると、ひとり早々に帰路に着く。
そんな彼の後を追ってきたのは、仲良くもなかった元クラスメイト。
よりによって卒業式の帰りに、なんの用か。主人公が尋ねると、元クラスメイトは語りだす。
数ヶ月前、中学時代の未解決事件を同級生らと紐解いた時のことを……。
感想①
事件は物騒でも、過去形かつ登場人物たちの軽快さで中和!
学生が主人公で、事件が起きてるミステリー。
事件は過去形、推理も学生たちの雑談で進むから、重々しい雰囲気ではなかった。
登場人物らの性格のおかげか、かなりテンポ良く読めた気がする。
とはいえ、事件の内容が内容なので、どう転ぶのかハラハラしたな。



うまく着地してくれないと後味悪くなりそう…大丈夫かな…。
感想②
最後に判明する構図が最高!!!
結論から言うと、
めちゃくちゃ読後感が良かった!!!
同級生らとの雑談で「中学時代の未解決事件」を推理した結果、主人公と元クラスメイトだけが「犯人」にたどり着く。
主人公の推理に同級生らが納得するまでが、数ヶ月前の回想だった。
しかし、その推理はフェイク。
口を噤んでいた元クラスメイトも、主人公も、犯人を公にしたくない事情があった。
それは、「ある人物」を守るため。
この短編では、主人公、元クラスメイト、そして「ある人物」の三人が、「誰かを守りたい、救いたい」という気持ちで行動していたのだ……!!



素晴らしい三角関係!!
最高!!
事件の謎解きと同時に、元クラスメイトが主人公を追って来た理由や、各々の想いも判明!
最後のタイトル回収も含め、それぞれの未来が広がる終わり方が最高だった!!!
「ドルネシアにようこそ」宮部みゆき
うだつが上がらない専門学生が主人公。
彼はバイトで毎週金曜日に六本木駅を訪れ、その度に「ドルネシアで待つ」と伝言板に書き残していた。
「ドルネシア」とは、俗にいう勝ち組だけが入れるクラブ。彼は縁遠い場所、存在しない相手に向けた伝言を残すことで、ささやかに気晴らしをしていた。
しかしある日、その伝言に返事があって……。
感想①
雰囲気が鮮やかに変わる!
おそらくバブル時代の話だけど、謳歌していない人が主人公。
だからうっすら陰鬱な空気が漂う。
でも最後には明るい未来に駆け上がる感じ!
すっきりとしていて、誰かをそっと後押ししたくなる物語だったな。
感想②
謎の二段構えが良き!
メインの謎は「伝言板の返事」。
これが読者を惹きつけ誘導し、もちろん最後には真相も明らかになる。



「宛てのない伝言」
「あるはずがない返事」
どっちも魅力的すぎる…!
だけど、少なくとも主人公にとっては、縁遠い「ドルネシア」が重要な謎なんだなと。
彼が「ドルネシア」の意味を、その中を、その背景を知ることで、人生が変わっていくから。



この技、創作で活用したい…!
感想③
ノーマークの伏線にしてやられる……!!
「小説に無駄な描写はない」を改めて思い知った作品でもあった。
というのも、伏線に全く気づかなかったから!
なるべく読書中は展開を想像するよう心掛けていたりする。
「自分ならどう紡いでいくか?」という視点が、創作にも役立ちそうだから。(ただの持論だけど)
でも気づくと、何も考えず読んでることの多いこと多いこと……。
文章の読解に集中してしまうと言うのか、没頭していると言うのか……。
だから伏線が回収されたとき、



いや、それ伏線だったんかい!
と突っ込まずにはいられなかった……!
小説の緻密さを再認識する物語だった!
「鏡の家のアリス」加納朋子
主人公は私立探偵事務所を営んでいる既婚者の男性。
彼はある日、息子に呼び出され婚約者の存在を知らされる。同時にその婚約者が、息子のストーカーから嫌がらせを受けていることも。
主人公は未来の義娘を守ることになるのだが、息子と別れた直後、その婚約者を名乗る女性と偶然出会って……。
感想
一番驚かされたミステリー!
ミステリーの王道「探偵」が登場する短編。
そして本書で一番ページ数が多かったかな。
序盤からとある人物が怪しいのなんの!
展開が見えているせいで、読むのが少ししんどかったな。
で も !!
ストーリーは予想を裏切られるもので!
「展開が見えている」と思ってたけどそれは間違いで、「展開を見せられていた」のだ!!!



まんまとやられた!!
読者の予想をコントロールして、その裏をかいた構成になっているのがテクニシャン!



なるほど、ミステリーには「ミスリード力」も求められるわけですな……。
本書を読んで思ったこと
「悪役の後始末」について。
ミステリーに限らず、物語に悪役はつきもの。
でも、本書を読んでいて気になったのが、
「悪役の後始末、弱くない?」だ。
それを特に感じたのは、加納朋子さんの「鏡の家のアリス」。
悪役のストーカーに対しては息子の「ストーカー行為の物証を利用して脅す」で終わるのが、なんとも……。



警察にお届けされないのね
(´・ω・`)
とはいえ、本書は「ハートフル・ミステリー」。
どの短編も、謎の真相が明らかになり、その真相や周囲が温かい感情で構成されている。
つまり、謎や謎解きがメイン。
成敗に注力しないのはもっともなのかな。



「君の歌」でも不良3人組への鉄槌が弱かったような……。



でも物語的には野暮……?
人によって「悪役の所業」と「後始末力(処遇・成敗)」のバランスは違うわけで。
ノイズになる人もいれば、気にならない人もいるのだろうなぁ。
終わりに
本書は加納朋子さんの短編が読めると思って入手した。
以前の感想記事で取り上げた『空をこえて七星のかなた』がとても素敵だったから、加納さんの他の作品を読んでみたかったのだ。
短編集なら読みやすいし、ハートフル・ミステリーなら精神も削られることはなさそう。
ということで、通販で即購入!
実際読んでみたら、他の方の作品も素敵で面白いのなんの!



一番好きなのは「君の歌」!
オススメするなら絶対これ!
ほかにも加納さんの本を購入しているので、折を見て読むつもり。
でも並行して、お気に入り3選の方々の作品にも挑戦してみたいな!



良い作品に出会えた!
編者に感謝です!
以上!
小説『あなたに謎と幸福を』の感想でした!



みんな気になる作品はあったか?



興味が湧いたら、
ぜひ手に取って読んでみてね〜!
最後まで読んでくれてありがとうございました!
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